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棚田学会
Rice Terrace Research Association

                  棚田学会賞 

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棚田学会賞
第9回石井進記念棚田学会賞(平成24年度)
1.授賞者
(1)中谷開発委貞会中谷郷が元気になる会(長野県小谷村中谷地区)
(2)酒井英次(新潟県新潟市秋葉区秋葉1-8-6

2.業績名及び授賞理由
(1)中谷開発委員会中谷郷が元気になる会
業績名:棚田等諸資源の活用による多彩な農業・文化体験交流
授賞理由:中谷地域の急激な人口減と高齢化に適切に対処して、地域の振興と住民福祉の向上を図るため、平成13年5月に中谷開発委員会が発足した。さらに平成17年度にその専門部会の「中谷を考える会」を「中谷郷が元気になる会」に改組し、現在まで15集落朋戸の会員が、地域資源を最大限活用し、地域経営計画の策定、棚田の復活・保全活動、並びに多彩な都市・農村交流事業に取り組んできた。
 「中谷郷が元気になる会」は、地域の主要メンバー23名で構成され、集落協定による棚田の保全活動に加え、平成17年秋から「ふるさと農村支援事業」などにより、耕作放棄されていた藤島棚田40アール19枚の復田にも取り組み、翌年から村で初めての棚田オーナー制度を開始した。現在では関西、関東、中部、北陸の10都府県のオーナー家族と交流している。
 これらの積極的な活動が認められ、平成18年2月に「立ち上がる農山漁村」認定証を小泉内閣から授与された。さらに、同年に廃校となった中土小学校址に中土観光交流センター「やまつばき」を新設し、地域の中心部「おらが里」に整備した歴史資料館、体験用炭焼窯など10棟の施設と共に、各種体験交流の拠点となっている。
 このように、棚田オーナー制度が地域活性化のいわば導火線となり、蘇った棚嵩が人々の心に絆を呼び戻すシンボルとなって、音楽、舞踊、祭祀、食文化、史跡など郷土の芸能、文化や地域資源が見直され、これらを最大限に活かすことにより、延べ棚名の児童を迎えた山村留学を含め多彩な都市・農村交流事業され、平成23年度及び24年度には小谷里山文化保存「木霊の劇場」プロジェクトに対して「文化庁芸術振興費補助金」が交付されて棚田で創作劇「当世小谷田楽」を三度上演するなど、様々な困難を克服して到達した中谷郷のクオリティの高い地域づくりは、全国の棚田地域に大きな希望と目標を与えるものであり、棚田学会賞を授賞するに相応しいものと認められる。

(2)酒井英次
業績名:棚田及び関連する民俗慣習等を主題とした日本画の創作活動
授賞理由:「田んぼに入る絵措き」と自称する酒井氏の画業は40年に及び創作数は300点に及ぶ。しかも作品は縦横1?2mに及ぶ大作多く、描画の手法も「こうぞ紙」に膠で岩絵具を固着させるという独特の手法で製作費、労力共に多大な投入を要する。これは、日本の風土を最も的確に表現するための手法を模索しての結果である。
 酒井氏の近年の画風は郷土の歴史的資産たる「棚田風景」と農事暦にもなる「雪形」のコラボレーションが多い。同氏独特の手法は時に遠近法を超越し、視点も縦横上下自由自在な傭轍、「春夏秋冬」季節の並存、棚田の地域を越えての混在等ユニークである。「八海山雪形図」「日輪(ニオジッタ)の見える棚田」「代掻き馬の頃」「北ア雪形図(U)(代掻き馬)」「種蒔き兎」「牛ひき爺さんの頃」「越中雪形図 (U)(人形山の人形)」から近年の「ブレーメンの音楽隊」「新田春耕秋収図」等々はこうした民俗の伝承ともなり貴重である。同氏はこれらを現代人に伝えるべく東京、小田原、新潟、長野の各地で数多く展覧会を開き、画集「民俗の風景へ」も出版、又絵葉書も発行している。
 酒井氏の活動はこうした画業にとどまらず、佐渡のトキ復活の一助となるビオトープ復元、新潟松之山・新田の棚田など各地の稲作農作業にも実際に参加し、新潟県内の仲間と「棚田の楽校」 で活躍した。さらに、「幸田田植え」や「雨乞い」などの稲作神事を紹介講演し「NPO棚田ネットワーク」「国際雪形研究会」にも参加、多くの会員に「棚田」
の貴重さと魅力を幅広く伝えている。こうした同氏の画業と農作業を通じての一般市民への啓蒙活動は、棚田学会の精神にも合致して棚田学会賞を授与するに相応しいと判断される。


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